にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 暗くなるともうかなり寒い。私と仁衣菜ちゃんは凍える手でイルミネーションの飾り付けに集中した。少しずつ豪華になっていく庭を見ると胸いっぱいに満足感が広がる。クリスマスの飾りを見ると大人になった今でも心が躍るようにワクワクドキドキした。

 漸く飾り付が終わって見上げると既に辺りはかなり暗い。


「行くよ! 3……2……1!」


 一斉に輝きを増すイルミネーション。かなり暗くなり始めていたので光もより綺麗だった。


「うわぁ……綺麗ですね~……うちの実家もこんなふうにしようかな」

「ふふ、それなら特別に値引きしてあげるわよ」


「ええー! いいんですかぁ!……って……あ」


 仁衣菜ちゃんの反応と背後に人の気配を感じて振り返った。12月の夜6時ともなれば寒い。彼もいつものグレーのスーツに黒いコートを羽織っているけど寒そうだ。


「火伊くん……」



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