にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 でも、私だって鬼じゃない。わざわざこの寒い中、来た相手を追い返すほどSにはなりきれない。


「……またアッサムティー飲んでく?」

「ハ、ハイ!」


 ビーグルは顔を上げて驚いてはいるけど傍目にもわかるほどに顔を明るくする。こんな可愛い顔されると、なんか子犬を手懐けたみたいで冷たくしきれないのよね。こういう時、ドSになれたら、どんなに楽だろうか。


「私も飲みたいですぅ~超寒いデス」

「お茶菓子あったかしら」


 夜にもなれば息も白い。手を擦り合わせながら、店内に戻った。お客さんもいないので休憩室のテーブルに3人でついたけど……なんか変な構図。とりあえずアッサムティーを用意してお茶菓子を探した。


「あった、あった。この間、札下げした(賞味期限切れや破損等で店頭から商品をさげること)お菓子。チョコとパイの相性が最高なのよ」



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