にゃんこ男子は鉄壁を崩す
皿の上にチョコパイを乗せてテーブルの上に出した。ミルクティー味のチョコには適度に甘味があって、そのチョコが苺のパイを包んでいる。口に入れると苺とミルクティーの香りが広がった。アッサムティーとの相性も最高で。ティーを一口、二口と運ぶとさっきまで冷え切っていた身体が少しずつ温まっていく。
そんな中で嬉しそうに紅茶を飲む二人に私も嬉しくなる。こういう顔されるとおもてなししたいなぁ、なんて感情が湧いてくる。
……私なんかに大したことはできないけど。
「あッのー! 早速、聞いてもいいですか!」
なんかキラキラ目を輝かせて私の顔を覗き込む仁衣菜ちゃんを見ると『嫌だ』とは言えないそんな空気がある。いや、言ってもきっと聞いてくるんだろう、この子は。
わかってますよ、そういう子の雰囲気は。35年も生きてればね。