にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「もう、こんな時間だねぇ。帰ろうか二人とも」


 私は紹介したことで質問の話題が逸れたのをいいことに帰る準備を始めた。だけど、ここは若い子。まだまだ空気を読むってことをしないんだよね。仁衣菜ちゃんは我が道を行く。


「由比子さんッ! 待ってください! 質問がまだ残っています!」

「まだ、あるの? さっさとしないとスーパー閉まっちゃうじゃない」


「じゃ、一個だけ! 由比子さんの好きなタイプは?!」

「はぁ~~? なんでそんなこと聞きたいの、仁衣菜ちゃん」


 変な質問するからビーグルも耳をダンボにして聞いてるじゃないの。『俺も聞きたいです』そんな言葉が顔に書いてある。でも、元気でモノをはっきり言っちゃう仁衣菜ちゃんに聞かれるとなんだか負けじと答えたくなってしまうけど、やっぱり、ねぇ……てか、マジで何でそんなこと聞きたいの?



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