にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「ハイ! 興味があるでありますデス! 大人の由比子さんがどんな男性が好きなのか!」


 変な日本語を喋る仁衣菜ちゃんは置いといて、好きなタイプ、かぁ。難しいね。しかも若者の前で答えるってのは。同じアラサー世代の女子と話すのとはわけが違う。

 しかもひとりは私を好きだと言っている、ホントかどうかしらないけど若いオトコ。もうひとりは15個も離れた若い女の子。外見だけで言えば親子って言ってもおかしくないかもしれない。


 何が言いづらいかって? そんなの決まってんじゃない。若い子の前で『イケメンでインテリで最低でも年収が800万は欲しい。それに浮気はなしで誠実で優しくて包み込んでくれるような男で、それでもってミステリアスな雰囲気も欲しい』なんて言ったら呆れられてしまいそうだ。


 実際にそんな男いない気がするし。


「内緒よ、内緒」

「「えーーーーッ!」」


 二人の声が揃って私を責めるような目つきで見るからちょっとたじろいだ。……なんでこんなことで責められなきゃイケナイのかしら? どんな男を好きだろうと私の勝手だ。


「答えてくれるって言ったのにぃ!」

「答える、とは言ってない。質問したいって言うから、どうぞって言っただけ」

「え、ずるい! そういうの!」


「あの、俺とか許容範囲内ですか」


 ほら、きた私の嫌な質問。




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