にゃんこ男子は鉄壁を崩す

 でも、私の性格的に有耶無耶にしておくのは性に合わない。

 だから、この際だからはっきり言ってあげるよ、ビーグル君。



「……うーん。判定だけ明確に言うと『今のところナシ』ね」

「……? 今のところ?」

 ビーグルは目をまん丸にして私が言った言葉の一部分を繰り返した。もっとショック受けるかと思っていたのに。なんだ、拍子抜け。

 ビーグルは私に詰め寄ってきたので私も一歩下がる。戸惑う私の前でビーグルは何か言いたそうだ。



「ん、ん?」



「お、俺! 頑張りマス!」


 ええ? 頑張るって何を! そう聞くのを待たずに『ありがとうございました。また来ます』と言ってビーグルはダッシュで帰ってしまった。


「……なんだか嵐のような人ですね」

 仁衣菜ちゃんと私は彼を呆然と見送る。なんなんだ、あの男は。



「……うん。ところで仁衣菜ちゃんは……どんなオトコが好きなの?」


 特に意味はないけど、仁衣菜ちゃんと同じく私も今時の若い子がどんな男性を求めるのか興味があった。


「えッ! 自分は言わないのにそれ聞いちゃいますか! ……でも、ま、いっかぁ。そうですね。ミステリアスなオトコの人が好きです」



 あれ、若い子とちょっとだけ趣味が合った。



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