にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 だから、お礼をしていないのは気になるところだけど、ウチで二人で鍋はイヤなのでついてくる小宮さんを無視して私は買い物を済ませた。無視しているのに彼は私の横を当然のように歩いている。ずっとついてくるので堪忍袋の緒が切れる。そして重要なことを私は忘れていた。


「あの! ついて来ないでもらえます?」

「何言ってんの。同じマンションじゃん」


 はッ!! イライラしすぎて忘れてた! 同じマンションだよ! それにしても、こんなに若くして古いとは言え、マンション買えるなんてどんな職業なんだ? 私は勿論、OL時代の貯金と退職金で老後も一人で暮らす覚悟で購入したけども。イライラと疑問を抱えてると何故かイライラは倍増する。


「ねぇ、由比子っていつもそんなん?」

「……どういうこと?」



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