にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 何か言われるのだと思うとちょっと身構えてしまう。それがわかったのかな? だからかな? 彼はふわりと優しい笑顔を浮かべた。

「いつもツンツンしてる感じ。疲れるでしょ」

「余計なお世話よ」


「ほら、認めないし、素直じゃない」


 そう言うと彼は自分がしていたブルゾンの上にしていたマフラーを外して……私にかけようとしてくれている……? それ、ちょっと嬉しいかも。そういうのちょっと好き。彼が近づくと私の好きな甘いココアみたいな香りがした。男の人から好きな香りがするとちょっとドキっとする。


 ……ドキっとしたのはちょっとだけだよ。

 匂いに反応しただけ。



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