にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 朝になると窓の外は真っ白だった。


 …………え! 雪、降ったんだ! 初雪だ! 大変! 私は急いで身支度をする。うわわわ! 絶対、歩くの大変だぞ! お店の雪かきもしないとお昼になって溶けるような雪の量じゃない。


 どっさりと積もった。

 どっさりと。


 慌てて玄関を出たらミィコもちょうど玄関から出てきた。なんてグッドタイミング! 玄関の靴箱の上に置いておいたマフラーを掴んで彼のもとへ走り寄って一緒にエレベーターに乗り込んだ。


「ミ……小宮さん!」

「ミィコでいいよ、由比子」


 今日も可愛く笑う彼は前よりも私に懐いている気がする。最初の頃の素っ気ない態度が嘘みたい。今は気軽に話せるお隣さんだ。

「マフラー! ありがとう」

「どういたしまして。由比子、今日早いね」


 マンションのエントランスから外の雪を眺めながら、ミィコはため息をつく。私もきっと彼と同様の思いだ。だって外はたくさんの雪が積もっていて歩くだけでも大変そう。



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