にゃんこ男子は鉄壁を崩す
私も今日みたいな日はさすがに大好きな雑貨がたくさん置いてある自分たちのお店だけど、これからすることを思うと面倒臭いな、と思いながらも「うん。お店の雪かきしなきゃ」と答えた。
「お店?」
「雑貨屋を友達と共同経営してるの」
「ふぅん」とミィコは私の顔を興味深げに覗き込む。他にも仕事のこと聞きたいんだろうか、と思ったけど特に話すことを思いつかなかった。
だから、「小宮さんはどうして早いの?」と私も聞いたんだ。
「強情だね、由比子。まだ小宮って呼ぶとか。……俺も雪かきだよ」
「そっかぁ」
強情という言葉は無視して納得した私。勿論、どこの雪かき? あなたもどこかの店に勤めているの? なんて質問が頭の中に浮かんだけれど、特に親しくないし、親しくなる予定もない。
だから、その質問はごっくんと飲み込んでエレベーターを降りた。