にゃんこ男子は鉄壁を崩す
私たちは雪に足をとられながらも、なんとか駅にたどり着いた。ブーツには雪が染み込んで冷たい。一息つくとミィコが口を開いた。
「今日、バス遅れるね。電車の方がマシかな」
確かにバスはこういう時、かなり遅れる。だから、電車が動くのならそっちのほうが早く着くのは間違いない。
だけど……もしかして一緒の方向……とかじゃないよね? 彼は電子マネーのカードを取り出すと期待を裏切らずに私の後をついてくる。ああ、やっぱり一緒か。それにしてもいつもにも増して今日は満員電車だな。
「あ、手袋、返すよ」
電車が着く前に手袋を脱いで彼に渡した。だけど彼は手を出さない。
「いいよ、してなって。向こうの駅着いたって歩くでしょ。絶対寒いから」
「だって、悪いし」
「しつこい、由比子」
「……ハイ」
そんなに眉間に皺寄せられたら何も言えないし。私は仕方なくまた大きな手袋を履き直した。電車がホームに入ってくる頃には電車に乗り込もうとする人で行列が出来ていた。
うわ、すごいな。マジで。潰されるの覚悟だな。