にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 ――――私は憤慨してた。そのキスの直後。彼の胸を押そうとしたら、唇が離れて「満員電車だから、押されちゃうとかなり困る」と言われて、怒っているのに、彼と密着しているこの状況がもどかしくて仕方がない。

 だけど、彼は悪びれもせず、「事故だって、事故! ほら、電車揺れたから。カーブで。……ね?」なんて言うもんだから私は口を真一文字に縛ってまた俯いた。


「由比子、どこの駅で降りるのって聞きたかったんだ」

「……次の次」

 喋りたくなかったけどミィコがどこで降りるのかも気になったから答えた。

「俺、その次。ね、由比子、機嫌直して」


 私の顔を至近距離で覗き込むミィコの顔からわざと顔を逸らす。そしたら、ミィコは困り果てたように「わざとだよって言ったら、許してくれんの?……もう1回しておく?」なんて言うから、ついにブチギレた。



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