蛇の束縛

ふいに、涙が出た。

忘れるはずがない…

待ちに待っていた愛しい人の声。

一瞬にして思い出が走馬灯のように駆け巡った。
心臓が潰れそうだった…


『う…ん…。わか…るよ…』



言葉にならない声。



『ごめん、いきなり連絡出来なくて。仕事でで遠くに行ってて出来なかった。』


『……』


言葉が出ない



【なんで…なんで今なの。あんなにツラかったのに。もっと早くに…】



声に出して言いたいが、隣には雅弘。

カズには、こう言うしかない…

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