蛇の束縛

雅弘に、妊娠した事を言えないまま中絶する日になった。

母に付き添われ、またあの病院へ行く。



最初いろいろな処置をしてもらい、手術が行われた。



麻酔が開始され、数を数えているうちに頭が真っ白になってきて体が重くなり落ちていく感覚があった。



【死ぬってこんな感じなのかなぁ…】



意識が遠のきながらこんな事を考えていた。



私は、夢をみた。



その夢は、私がこんな状況にあるにもかかわらず自分の夢を追いかけ仲間達と戯れていた。

私は、感情が爆発したかのように叫び狂いなが雅弘を責めていた。

平然としている雅弘。

遠くの方で、私を必死に止めてくれている人がいる。



『誰か落ち着かせて!
電話かけて!!』



そんなの関係なしに騒ぐ私。


そして、遠く遠くの方から私を呼ぶ声がした。




『神…!!神崎…!! 神崎さん!!』



目が覚めた。


体を看護婦さんに押さえられていた。



『神崎さん、大丈夫ですか!!』



『うっ…!』



下腹部にものすごい痛みを感じた。



『う゛ぅぅ…』



唸る私。



私はまだ処置中だった…

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