Holy Night Kiss
孤独な彼女
気安く触らないでよ。
無遠慮に差し出された大きな手を、私は素早くはたく。
困ったように苦笑して、あなたは一旦手を退いた。
賑やかな町の真ん中に、忘れ去られたような小さな公園。
気づけば私はひとりで、北風の中そこでうずくまっていた。
寒くて、おなかが空いて、いくら泣いても誰も見向きもしないから、私は誰にも見えていないのだと思ってた。なのに、あなたは私が見えたのね。
「寒いだろう? 一緒においでよ」
私をなだめるように向けられたあなたの笑顔が、なぜか寂しそうなのは気のせい?
他の人たちはみんな誰かと一緒で楽しそうなのに、あなたはひとりなのね。
もう一度差し出された手に、私は頬を寄せる。
そうね。
ひとりの寂しさを知ってるあなたとなら、一緒に行ってあげてもいいわ。
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