追憶の灰
「陽斗、私行きたくないよ。陽斗と離れたくない…」

うんうんと相槌を打ちながら、陽斗の温かい大きな手が、私の頭を撫でる。と、少しだけ不安が消えていく気がした。


「光。淋しいのも不安なのも、俺も一緒だよ。だけど俺達は子供で、まだ全然生活する力が足りないんだ」

陽斗のもう一方の手が、悔しそうに拳を握りしめた。

「今は一緒に一年ガマンしよう?俺が大人になって、光を守れる男になったら、もう二度と離さないから…それまでは…」

「……うん」
私は何度も頷いて、陽斗の胸に顔を埋めた。
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