追憶の灰
「光ちゃ~ん?光ちゃ~ん?」

ざわめく空港内に、よく知る声が聞こえる。

「…もう時間か…」

「…うん…」

離れがたい温もりから、お互いゆっくり距離をおく。

「茜ちゃん!ここ!ここ!」

私は幼なじみの吉川茜に、大きく手を降った。

「探したよ!!もうすぐ出発するから準備してっておばさんが…」

茜ちゃんは少し乱れた息を整えながら、搭乗ゲートを指差した。

「分かった!ごめんね。ありがとう」

「…光ちゃんが居ないの、すごく寂しいよ。でも、待ってるから」

「私も…すごく寂しい」

また込み上げてくるものを、ぐっと堪えて、茜ちゃんと固く両手を繋ぐ。
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