追憶の灰

【1】

あの日と同じ冬晴れの空を、私は暫く見ていた。

一年が過ぎ、ようやく日本に戻って来れた。
今すぐにでも陽斗に逢いに行きたいという想いとは裏腹に、不安で心がざわめく。

携帯を見つめる…時が止まった私と陽斗の待ち受けが、幸せそうに笑っていた。
陽斗からの連絡はない。


旅立った初日『無事に着いた』と、私は陽斗にメールをした。

いつも短文で返事を返す陽斗からのメールは、珍しく長い文章で返ってきた。

『無事に着いて良かった。
これから光が帰って来るまで、連絡をするのを止めるよ。
会えない事が辛くなるから。
じゃあ、光も体に気を付けて』

「毎日メールするから」
旅立つ前に言ってた陽斗の言葉と違うのが気になって、その後すぐにメールしたけれど、返事は来なかった。

何か特別な事があった時や、電話をしてみても、陽斗が答えてくれる事はなかった。
そして今日の帰国を伝えても、一切返事は来なかった。
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