煮込み長靴

出来れば、はいていた人の情報も欲しいのだが
個人は、特定出来ないが、あの当時その工事に従事したのは腕の良い建設業の人達だったらしい事しか分からなかった。


それだけの情報でも充分だった。



ベテランの建設作業員って事だけで、俺達の想像力は良い方向に働くのだ。



ベテランの建設作業員がはいていた長靴となればそれだけ価値が上がるし旨いのだ。


鍋の中から異臭が漂っているが俺達は鼻を鍋に近づけてそれを楽しむ。


「この匂い、たまらんなぁ。きっとベテランの作業員だぜ。

年齢は五十才くらいで中学卒業してずっとあらゆる建設業をやってて、この長靴の頃は息子を大学に行かせる為に頑張ってる感じだな。」


そう話すのは、ヴィンテージ長靴歴まだ三年の田中だ。


そういうサイドストーリーを考えるのが上手い




それに、そういうサイドストーリーが有ると更に味わいが増すというものだ。


< 2 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop