煮込み長靴
この何とか飲み込むのもヴィンテージ長靴の醍醐味だと言える。
四十代の男三人が涙ぐみながら何とか飲み込むのは、滑稽だがそれはそれで、良い光景でもある。
田中が、急に立ち上がると窓を開けて吐いた。
飲み込み切れなかったのだろう。
まだ甘いなと思う。
「見てよ。飲み込き切れなかったけど、吐いたお陰でこの涙と鼻水が何だが良くない?」
俺は腹の中で言い訳しやがってと、思いながらも、それも味わいかもなと頷いて見せた。
少ないマニアなメンバーを失いたくないし俺も最初のうちは、何度も吐いたから気持ちは分かるのだ。
田中は、吐いた後は苦しみながらも完食した。
三人で完食するとフ~とため息をつきながら満足感に浸った。
「いつかは、東京タワーを作った人の地下足袋を食べたいよ。
あちこち、色々調べてるけど、なかなか手に入らないんだなあ。」
俺達は、長靴だけでなく地下足袋系にも当然興味があった。