愛しの太ももサンタちゃん

「シェフ。俺にもワインをくれ」

 ルカはぎょっとする。
 車の運転は?
 だけど、ルカももう子供じゃない。察した。
 今夜はもう帰らない。この白い平原でルカと過ごすのだと――。

 親友に呼ばれ、シェフがすっ飛んできた。

「池上、おめでとう。よ、良かったな! うん、良かった、良かった」

 シェフが泣いている。
 三年もクリスマスの夜の準備をしてくれていた友人に、池上さんは申し訳なさそうな顔をしていた。

「ルカさん。コイツ、無愛想で言葉が足りないけど三年も想っているような純情なやつだから。よろしく。あーこれでやっと、おまえとカノジョの為の料理ができる。よし、待ってろよ」

 憧れていた彼の手にも、とろりとした赤ワインのグラス。

「よろしく、ルカ」

 今夜から俺と一緒だ。
 初めて名で呼ばれ、ささやかれる。

「はい。よろしくお願いします」


 この夜。ふたりはレストランの屋根裏部屋に泊まらせてもらった。

 白い平原の夜。ルカのカラダに重なる体温と熱愛と口づけ。
 ルカも彼の匂いがする皮膚に口づけて、熱い肉体にしがみついた。
 静かな雪がしんしんと積もる中、彼のキスの音が繰り返されて――。


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