誘いの季節

「にぃ…さま…?」

囁くような、戸惑うような声で言われ、明良は自分の取った行動を思い出した。

見ると、手を取られた月夜は今にも泣きそうな目で明良を見詰めている。その瞳は、触れたらその瞬間壊れてしまいそうな、硝子細工のような危うさがあり…


「…っ」


気付けば、自ら月夜の唇を奪っていた。

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