気になるあの子はまひろちゃん。



どーぞと扉を開いて。


まひろちゃんが失礼しまーすと言いながら、中に入ったあとに続く。




「わ!
 こっちの教室、日向があってあったかーい!
 あたしの校舎、寒いからなぁー」



たたた、と教室に入ってはしゃぐまひろちゃん。




まひろちゃんは、寒がりなのだと最近知った。



11月前にカイロを持ってくるのも、極度に寒がりなせいだとまひろちゃんが教えてくれた。


大きめのセーターを着ているのも、中にたくさん着込めるように、という理由らしい。




「あ、涼くんの席ここでしょ?」



と。


まひろちゃんは日向側とは反対の、寒い廊下側の一列の後ろから2番目の席にすとんと腰を下ろした。



「うん、そう。
 当たり」

「ふふっ。
 いつも見てたら覚えちゃった。
 あたしとよく目が合うなーって」



机に頬杖をつきながら、そんなふうにさりげなく、また正確なところを撃ち抜いてきた。


その言葉に、頬がじわりと熱を帯びて。




もう本当、ほどほどにしてほしい。
可愛すぎるのだ、いちいち。


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