気になるあの子はまひろちゃん。
「……まひろちゃんの席は、左の列の後ろから2番目だよね」
俺も、覚えてる。
何度も見つめたあの子の席。
目が合うたびに恥ずかしくて逸らしたのに、今じゃこんなに近くで。
「涼くんも覚えてるの?あたしの席」
驚いたように言うまひろちゃんに。
「だって、俺もいつも見てたし」
ふと、口が滑ってそんなことを言っていた。
「……え?」
「……え!?
ちょ、ちょっと待って!今の忘れて!
ごめん!変なこと言った‼」
自分でも、かなり大胆なことを言ってしまったとみるみるうちに顔が赤くなった。
ていうか、まひろちゃんはなんでもないように言ってるのに、俺だとなんでそんなに言葉の意味が重くなるんだ!
きっと、耳まで真っ赤な俺にまひろちゃんは。
「嬉しい、ありがとうっ」
少し照れたように頬を桃色にして、丸い瞳を細めて笑んだ。
その笑顔に、俺はまたより一層、顔が赤くなるのがわかった。