気になるあの子はまひろちゃん。








「……ふー」




補習を始めて、1時間ほどが経過した。



まひろちゃんと俺は、向かい合わせにくっつけた机で、各自教科書や問題集を広げて。


まひろちゃんはわからないところがあったらその都度俺に聞く、という方法でそれぞれ勉強を進めていた。




いつもなら感じない、妙な緊張感が沈黙となって俺とまひろちゃんの間を行き来し。




勉強を教えるとき以外は特に会話のない中、集中力がそろそろ切れてきたのか、まひろちゃんが机の下で腕を小さく伸ばした気配がした。



「……ちょっと、休憩しよっか」

「え?」

「休憩挟んだほうがはかどるしさ」

「え。
 え、でも……」



俺がシャーペンを動かす手を止め、声をかけると、少し戸惑った顔で、頷こうとしないまひろちゃん。


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