気になるあの子はまひろちゃん。



だけど、大丈夫と言わないあたり、本当はちょっと疲れてきてるんだと思う。



まひろちゃんがとても嘘が下手で、素直すぎることは、もう知っているつもりだ。



きっと、勉強を教えてほしいと自分から言った手前、本音を言いにくいんだろうな。


優しいまひろちゃんのことだから。




今にも、あくびをしそうな目で、狼狽えているのが可愛かった。



やっぱり好きだなあ、と顔がほころぶのを感じながら、そっと言葉を続ける。



「俺、あんまり集中力なくてさ。
 ……だめかな?」



うまい言葉が見つからないなりに、まひろちゃんの答えが一択に絞られるように言うと。



「……涼くんのそーゆうところ、スキだな」



まひろちゃんがふにゃりと笑って。



「あたしも休みたいなっ」



そう言ったから、あぁ見破られてんなと苦笑する。




もう少しさりげなく促せたらはなまるだったけど、結果としてまひろちゃんがいつもみたいににこにこの笑顔を見せてくれたから、よしとする。


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