気になるあの子はまひろちゃん。
がこん、と落ちてきたコーヒー牛乳のパックをまひろちゃんから手渡される。
「ありがと…」
いつも通りミルクティーのパックを、手のひらで包み込んでストローをさしこんでいるまひろちゃんにお礼を言いながら、思わず見つめてしまう。
「え、なに?」
視線に気づいたまひろちゃんが俺を見上げて、小首を傾げた。
あ、可愛い。
じゃなくて。
「いや……まひろちゃんが俺にジュースおごってくれんの初めてだなあ、って……」
自分の手の中のコーヒー牛乳とまひろちゃんを交互に見ながらそう言えば。
「いつもは涼くんがじゃんけんで負けちゃってるからでしょーっ。
今日はあたしのお願い聞いてもらっちゃったんだから、あたしがおごるの当たり前だしっ」
まひろちゃんがむ、と唇を尖らせた。