気になるあの子はまひろちゃん。
並んで下駄箱へ向かいながら、外を見るともうすでに暗い。
「まひろちゃん、外暗いから迷惑じゃなかったらおくって……」
「まーちゃん!?」
俺の言葉を遮って、まひろちゃんが下駄箱の外へ手を振った。
まーちゃん……?
まひろちゃんの目が向かう方向へ俺も視線を合わせると、ひらひらっとまひろちゃんに手を振り返すひとりの男が立っていた。
「うそ! ほんとにまーちゃん!?」
俺の横から、たたっと嬉しそうにその男の元へ駆け寄るまひろちゃん。
「なに? 偽者だと思ってんの?
……ちゃんと本物だよ、まひろ」
「ひゃあー! ひさしぶりだねまーちゃんー!
いつこっちに帰ってきたの?!」
「さっき着いたばっか。
家に荷物置いてからすぐまひろの学校来たの。
まひろに会いたくて」
「嬉しい!
あたしもまーちゃんに会いたかった!」
俺を置いて、仲良く喋るふたり。
ただの友達とか、そんな空気じゃとてもない。