気になるあの子はまひろちゃん。
目の前で交わされる会話を聞いていると、まーちゃんと呼ばれているその男はどこかに行っていたらしく。
久々の再会を喜ぶまひろちゃんの頭を優しく撫でている。
そんな光景を見ながら俺は、急に現れた目の前の男に混乱してなにも言えず、なにもできず、突っ立っていた。
すると、ふと男の目がこちらに気づいた。
よくよく見るとその瞳は深い碧色をしていて、その顔立ちも少し、中世的な美形で。
ハーフだと理解する。
色白で細身なその男は俺の姿をみとめてから、再びまひろちゃんに向き直り、
あの男の子は? と、問い掛けた。
「あ! 紹介するねまーちゃんっ、
彼、柏木涼くんっていって、最近仲良くしてもらってるの。
今日もあたしに勉強教えてくれてたんだっ」
男に問われてやっと俺に瞳を向けたまひろちゃん。
男に言われなきゃ、このまま俺の存在なんて忘れてたんじゃないかと思うと、その男に嫉妬というよりかは悔しさが沸き上がって、同時に悲しくもなった。