気になるあの子はまひろちゃん。
あの子と急接近と
__それから3日後くらいのこと。
運悪く担任に捕まってしまい、あり得ないほどためられたプリントの整理を押し付けられた俺は、
最終下校時刻ギリギリになんとか死ぬ気で終わらせ、10月の西日に染まる校舎の階段を全速力で駆け下りていた。
「くっそ、あの担任……!」
八つ当たりに地面を蹴るように足音荒く走る。
人から良く温厚だといわれるけれど、例えどんなに温厚でも、余裕で3桁まで届いているほどの終わりの見えない数のプリント整理を押し付けられて、苛立たないわけがない。
徒歩通学ならそのまま通り抜けられる正門の前を通り過ぎ、自転車通学者に対してあまり親切でない、その先にある少し遠い駐輪場に向かう。
鍵を回し、
多すぎるプリントの束を、ひたすらガチャンコとホチキスで止めまくって瀕死寸前の右手で弱々しく自転車を引っ張った、が。
錆び付いた自転車立ては俺の自転車のタイヤをギシギシと鳴かせるだけでなかなか離さず。
「……、」