気になるあの子はまひろちゃん。
そんなある日の昼休み。
パンを食べ終えて、祐一にバスケに誘われていた俺は体育館へ続く廊下を目指して歩いていた。
とんとん、と階段を下りて体育館へ向かっているとき。
目の前の廊下の曲がり角から現れたのは、ヘッドフォンを首にかけた、……まひろちゃんだった。
二週間ぶりくらいに見たまひろちゃんは少し元気が無く見えた。
……俺の勝手な見解だけど。
俺の姿を視界に収めたまひろちゃんは驚いたように目を見開いて、
……すぐに俺から目を逸らした。
それにぐ、と痛む胸。
おい勝手に傷つくな。
俺が悪いんだから。
傷つく資格なんて。
視界の端に消えていくミルクティー色の髪。
その腕を掴んで引き止めたくなる。
けれど、今更そんなこと。