気になるあの子はまひろちゃん。
「いって……」「いたた……」
はっと目を開くと、目の前にまひろちゃんの顔。
ぱちりと至近距離で絡んだ視線を、どちらからともなく慌ててはずす。
「あっ……、
ご、ごめんなさいっ……!
大丈夫……?」
「ぜ、全然……へい、き」
俺の上に乗っかる状態になってしまったまひろちゃんが、焦った様子で俺の上から急いで退く。
しどろもどろな返事を返す俺は、まるで初めて話した……俺が自転車を倒してしまって起こすのを手伝ってくれたあの日のようなぎこちなさで。
「あ、あの……助けてくれて、ありがとう……」
俺がからだを起こしたところで、小さく言ったまひろちゃん。
__遠い。
まひろちゃんがすごく遠い。
ひさしぶりにこんな近くにいるのに。