気になるあの子はまひろちゃん。

「……涼くん？」



俺が突然の事態に恥ずかしさで固まってなにも返せずにいると、まひろちゃんが俺の首に回していた腕を緩めて顔を覗き込んでこようとした

から、慌てて両手で顔を隠す。



「だめ！ いま見ちゃだめ！」

「えー！なんで!!　見たい！
　涼くん照れてるんでしょ⁈
　見たい！」

「だめだめだめ！
　頬ゆるゆるで絶対きもいからだめ！」



むう、とほっぺを膨らましたまひろちゃんを、顔を覆った手の指の間から伺い見ながら、


俺はぐいっとまひろちゃんを抱き寄せた。



真っ赤な顔をまひろちゃんに見せないためであって、

決して、さっきまひろちゃんに抱きしめられたときにいきなりのことで戸惑って抱きしめ返せなかったから、とかいう下心はない。……ない。