気になるあの子はまひろちゃん。
視界に入ったのは、甘いミルクティー色。
3日前よりも近い、目の前で揺れるその髪に驚き、思わず開いた口の間からまひろちゃん、と声にならない呟きが漏れた。
聞こえていないはずだけど、それに気付いたようなタイミングでこっちを向いたまひろちゃん、といつもよりずっと真近で目が合ってドキリ、と心臓が跳ねた。
ふわりと笑って
「手伝うね?」
と言ったまひろちゃんの声が鼓膜を揺らした。
俺は掠れた声でありがとう、と言うのが精一杯だった。
手際良く自転車を立てていくまひろちゃんの横で俺はぎこちなく。
思わず視線は隣のまひろちゃんを意識してしまい。
起こしたばかりの自転車を再び倒して、自転車ががしゃんと大きく音を出す。
「……び、びっくりしたー。
大丈夫?」
「ご、ごめん。
大丈夫……です」
なんて。
最高にかっこ悪い印象をつけてしまう。