気になるあの子はまひろちゃん。



赤く染まっていく顔を腕で隠す俺は、付き合ってもうすぐ1か月たつ今でも彼女との近距離になれられず。



まひろちゃんはちょっと、無防備すぎる。

多分無自覚で。


距離が近いことに意識なんてしてないんだと思う。


それが俺にはまだ恥ずかしかったりする。

……どうせヘタレですよ。好きな子に早々手なんて出せませんよ。




「あ、あのねっじゃあね……っ!
 これ、ともだちがくれたんだけど……」

「……チケット?」

「う、うん。
 そのアニメのなんだけど。
 だから……その、」



まひろちゃんにしては珍しく、もごもごと言い淀む。



そして。



「よかったら、
 土曜日、あたしとデートしませんか……っ!」



両手に握ったチケットを差し出してきたまひろちゃん。


まっすぐ見つめてくるその顔が、ほんのり赤らむ。



……これは、もしかして、



まひろちゃんが、照れている……?


< 63 / 70 >

この作品をシェア

pagetop