水曜日のクリスマス
「あの……」
ぼんやりとツリーを見ていると、声をかけられた。
「っ……」
「やっぱりそうだ!」
「何でっ……」
わたしは目の前の光景が信じられなくて心が震える。
「今日、図書館で会えなかったから……先週、このツリーの話してたでしょ? もしかしたら……と思って」
彼がわたしを見る。
「今日に限って仕事が長引いちゃって……急いで図書館に行ったんだけど、もう閉館してた。でも、何となくあなたは来てる気がして……ここに来た。
一か八かの懸けでした。でも、よかった、会えて」
図書館ではあまり多くを話さない彼。
図書館だからだったのかもしれない。
今日はまた、違う人にも見える。