水曜日のクリスマス


毎日読みふけっていたこの本を返却してまた、あの作家さんの場所に向かう。


あの日と同じように、タイトルを見ていると、隣から声がした。



「あ」


その声の方を向くと、先週と同じ彼が立っていた。



「あ……」


「あの本、もう読んじゃいました?」


「あ、はい。今日、返却しました。先週はすみませんでした」



小声で返事をして会釈をする。



「いえ、いいんです。飽きるくらい読んでますから……」


その言葉に笑みがこぼれる。


飽きるくらい……。


分かる気がする。


わたしも毎日のように読んでいた。









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