頼る甘える好きになる~幼なじみと絶賛両思い中!~
通り過ぎようとすると、グイッとあたしの手を掴む姫花。
「なに?離してよ」
自然とあたしは姫花を睨んでた。
「その……この前はごめんなさい……。あんなことするつもりなかったの…」
「あたしよりもさ……風真と璃玖くんに謝る方が先じゃない?」
「私…!友達……失いたくないの……。紬なら分かってくれるよね?」
あたしなら分かってくれる?
きっと、姫花は中学時代のあたしと自分を重ねてるの?
とっさにあたしから出た言葉は正直そのもの。
「一人になりたくないだけのアンタと一緒にしないで」
姫花の腕を払ってあたしは前へと進む。
「待ってよ……私を助けてよ!友達でしょ?」
あたしは振り返らない。
これでいいんだ……。
トイレに響く姫花の高い涙声。
あたしは……あの時に姫花が助けてくれなかったの覚えてる…。
あの記憶が、前に進もうとするあたしを阻むモノ。
今は大丈夫。
風真も朱音も日波くんも……璃玖くんも。
あたしにはたくさんの味方になってくれる人がいるから。