俺は二面紳士
君の前では狼になる
俺は君たちがよく知っている、どこにでもある本屋に勤務している。
「 笠名くん、レジお願い!」
「 はい 」
俺は 笠名 紳士 (しんじ) 23歳だ。
この本屋には学生時代からバイトで来ていて、今は社員だ。
長く勤めるとお客の顔と名前を覚えてしまう。
俺は至って真面目、髪は七三のバックにしているけど、くせ毛がまとまらず垂れる毛もあって、今時の眼鏡男子だが、どちらかと言うと… 紳士と言ってほしい。
名前が紳士、とは言え紳士とは言い切れない部分もあるよ。
それは何か?
君にだけ教えるよ。
俺は君が好きだからさ。
俺には好きな子がいるんだ。だけど、俺はこの本屋では人気者で通っている。
周りが勝手に言うからしかたがない…
店主にもなるべくレジに立つように言われているくらいだ。
ある日の帰り道、俺が思いを寄せる子と偶然同じ弁当屋に立ち寄った。
彼女の名前は 新井 凛。
俺たちは互いに顔見知りで、少しは話す仲だ。