俺は二面紳士
ベンチに座り一緒に弁当を広げて食べていると、凛が妙な事を聞いてきた。
「 紳士くんはさ、なんでアデランスみたいな髪型にしてるの?」
「 は!? アデランス? 」
アデランスな分け目と言いたいのか、少しショックだった。
「 似合ってるよ、誠実に見えるし… アデランスじゃなくて、七三分けって言うのかな?かっこいいよ 」
かっこいいか… 凛に言われると、アデランスでも何でも嬉しい。
でも、これも俺だけど、本当は…
「 凛ちゃんは、誠実な奴がタイプ?」
違うと言えよ…
「 うん。」
俺は… ダメなんだな。だって俺は… 本当は今すぐにでも凛を抱きしめたいと思っているから。
弁当なんかより、凛を… 俺のものにしたい。
そんな気持ちがあると凛が知ったらきっと もう… 会えないだろう。
「 私ね、好きな人いるんだ。」
「 え… 」
好きな… 人? 俺はもうフラれたのか?
告白もしてないのに…
「 紳士くん!あ、あの… 好きですっ」
ああ、だろうね… えっ!!
「 今なんて言った? 俺… 俺が好き?」
「 うん、二回も言えないっ 」
思わぬところてわ、思わぬ告白を受けた俺は… 同じ気持ちだと伝えたかった。
でもそれは出来ない。
凛が好きなのは紳士的な誠実な俺だからだ。
それでも俺は凛が俺以外の奴の所に行ってしまうのは耐えがたい。