俺は二面紳士
リングを回しながら真っ赤になっている凛の顔は月明かりでよく見える。
また それが艶っぽく見えてドキドキと緊張がたまらない。
「 俺も… 好きだよ、ずっと好きだった 」
俺は凛を抱きしめて耳元で言った。
一瞬、首をすくめた凛に、俺はゾクリした。
我を忘れてしまいそうで怖かった。
衝動は止められるものだと思うが、本来の俺には無理な話だ。
俺は名前が紳士でも、紳士じゃないからだ。
腕の中で両想いだとの安堵と、嬉しい気持ちを凛も感じている。
「 凛… キス、したい 」
凛の耳元でそう言った俺に、コクッと本当に小さく頷いた凛の唇をすぐさま奪い塞いだ。
月明かりの中で俺は狼になる手前で我に理性を取り戻す。
可愛い凛、この子は俺のもの。
誰にも渡さない。
時間も遅く、シンデレラなる前のように凛を送ろうとするが、俺は店に忘れ物をしたのを思い出した。
「 ごめん、ちょっと店に寄るけどいい?」
「 忘れ物? いいよ。」
笑みの絶えない凛は可愛い。
視線が絡むだけでも照れ笑いをする。
可愛いすぎてどうかなりそうな気分だ。
本屋に着くと、凛もついてくると言って、暗い店内へ、凛は俺の腕を組み歩く。
「 凛、暗いけどレジに立ってみる?」
「 いいの!立つ立つ!」
凛を俺がいつも立つレジに立たせてやると、俺からの景色を見ているかのように、レジを触ってみたりしている。
「 嬉しい?」
「 うん!ここから、私やお客さんを見てるんだね… 今は私の、ね… 」
「 そうだよ、俺は凛の… だよ」
レジと向き合う凛の顎を捉えて、暗い店内、レジに片手を付き、俺はキスをした。
止めたくても、思いが通じて、片想いだった分の気持ちが溢れてしまう。