夜蝶 Ⅱ
そう思って業務に戻る。
けれど頭の隅には
愛美さんの顔がちらつく。
樹「いい大人になっても
あなたは迷惑の塊ですね。」
誰にも聞こえないような
小さな声で呟いた。
本当にあなたは自分勝手で
考えが浅はかで…。
でも…
初恋の相手…だからな。
彼女の笑顔を思い浮かべるだけで
自然と頬が緩んでしまう。
そんな俺は
許嫁がいる身。
誰にも話せない想い。
辛いと感じるけど…
自分にも感情があったんだと安心する。
はぁ…
もし許嫁と俺の間に子供ができたら
その子にはこんな窮屈な想いは・・・
絶対にさせない。
心の中でそう誓った。