夜蝶 Ⅱ



愛「その変わりね、樹も 
  そろそろ荷物おろそうよ…」



不意にそう言うものだから
美夜も僕も驚いた。



美「ママ?
  いっくん何も持ってないよ?」



確かにそうだ。
僕は白衣に聴診器を首にかけ、
胸ポケットにペンを入れてるだけ。



不思議に思うと



愛「持ってるよ?
  心に重たい荷物を。」



相変わらず不思議そうな美夜。
でも僕は冷静さを保つことに必死だ。



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