夜蝶 Ⅱ
僕の父は大学病院で医院長をしていて
母はその秘書をしていた。
父は祖父から病院をついでいて
次にその病院をつぐのは
僕たち兄弟だった。
ちなみに僕が三人兄弟の長男。
だれもが僕がつぐものと思っていた。
だから僕はだれよりも過剰に教育された。
“英才教育”と言うものだろうか。
小さい頃からたくさんの勉強をし
自分でも良い成績を収めたと思う。
まだ勉強は楽しかった。
分かっていくのが。
解くことが出来ることが。