夏月一会


凪は食事以外は部屋から自主的に出ようとはしなかった。


もし、私が食事を作らずに呼びにも行かなかったら、そのまま何も食べずに部屋に籠もりっぱなしになってしまうだろう。




一度、家政婦が居なかった間はどうしていたのか気になってきいてみたことがある。
その時凪は、


「僕、元々少食だから何食かは抜いても平気みたいなんだ」

淡々とそう言っていた。


「じゃあまさか何日間も何も食べなかったりもしたの?」


私は驚いてきいた。
すると凪は、

「どれぐらい食べなかったのかは分からないけど、そうかもね。でも、運動してるわけじゃないし、そんなにお腹減らないんだ。たまに何か食べたくなったら、店屋物を頼んだりしてたかな」



その食生活にびっくりした。不健康極まりない。


それなら冷蔵庫が空同然だったはずだ。



私はそれを聞いて、凪にちゃんとした食事を一日三食しっかり食べさせるために、毎食きちんと作ることにした。


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