夏月一会


私は、最近思うことがある。


もし、あの夏、凪に出会ってなかったら……



正直に言ってしまえば、もし出会うことがなくても、私は、今と同じように、誰かと出会って結婚して、平凡な人生で幸せを掴んでいたと思う。


でも…きっとそれは、今の私とは違っていただろう。



凪に出会って、私は、以前には気付けなかったような小さなことに、大きな幸せを感じるようになった。


それで、知った。


何よりの幸せは、普段当たり前のように見逃している、平凡なことや些細なことにある。


幸せには、特別なことなんて、何一ついらない。


気付けなかったような幸せに、気付けることが、何よりの幸せ……


そういうことに気付いたのは、凪に出会えたからだよ。


凪は、凪のために何も出来なかった私にえ会えて、幸せだと言ってくれたから……

私も、凪と話したり、一緒にご飯を食べたり、一緒に居られたことが、一番幸せだったから……




ねぇ、凪……


凪は言ったよね。

本当に縁がるなら、きっとどんな生き方をしていようと繋がっていられる。…って。


私にとって、それは凪だったんだと思う。

今までも、そして、これからも……



(僕達は、同じ海で繋がってる…)



凪がそう言ってたから、そう思ってもいいんだよね。


そうだよね。凪……


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