夏月一会



「ねえ。麗海さんて、彼氏いるの?」


凪が私に話す時の多くは、私に対しての質問だった。



「いたら夏休みにここに住み込みでいるわけないでしょ」


私は、凪がどんなことを聞いてきても、ちゃんと答えるようにしている。

私自身のことは、わざわざ包み隠すほどのことじゃないし、言って困るようなことだってない。

第一、共通の話題なんてないから、何も話すことがなくて黙ってしまうよりはずっといい。



「それは、もし彼氏がいたら、夏休みに従姉弟のお守りなんてせずにデートなり旅行なりしてるってこと?それとも、夏休み中ずっと男と一つ屋根の下ってことで何か誤解されたら困るってこと?」


「前者に決まってるでしょ」

凪は冗談で言っていると分かっているから、私は即答する。


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