夏月一会
「私は伯父様と話した時、そういう風に感じなかったなぁ。やっぱり恐い感じが……あ、ごめん」
思わず言ってしまってから、私は自分の言葉に反省した。
いくらなんでも、本人の前で父親のことをこういう風に言ってはいけない。
「いいよ。普通はそう思うだようから」
凪は笑ってそう言ってくれて、私はほっとした。
「じゃあ、伯父様は凪君にも厳しいの?」
私は何気なくそう聞いた。
本当に、何気ないつもりだった。
私が聞いた瞬間、凪は、一瞬表情を強張らせた。
それは本当に一瞬で、すぐに何でもないという表情に戻ったけど、私はそれを見逃さなかった。
「さあ……どうだろう。僕は暫く離れて暮らしてるし、家に居ても、父は昔から忙しくてあまり顔を合わすことがなかったから……」
その凪の言い方は、誤魔化そうとする時のものだと、私にはすぐ分かった。
「そうなんだ」
分かっていて、私はそれに気付いていないフリをした。
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