夏月一会
「ねぇ、麗海さん」
「何?」
私は洗濯物と干しながら答えた。
「麗海さんは、いつまでが夏休みなの?」
「九月二十日からが後期なの。だから、十九日まで」
「じゃあ、それまでここにいるの?」
「んー……どうかな」
伯父には、具体的にいつまでいてほしいと言われたわけじゃない。
私も、夏休み中でここに居れる範囲で居ると言っただけで、具体的にいつまでとは決めてなかった。
「色々と準備あるから、ギリギリまでは居られないけど…九月の頭までは居るかな」
「そっか…」
凪は静かに呟いた。
「なーに?私が居なくなったら寂しい?」
私は、いつも私をからかう凪のように言った。
「まぁね。でも、麗海さんこそ僕と離れるのが心配でしょ」
凪はあっさりと返してくる。
「確かにねぇ…凪君が一人だったら生活が心配だもん」
これは、冗談抜きでそうだった。
凪が一人になったら、私がこの家に来た時の有様に逆戻りしそうだ。
でもそれは、私の代わりに誰かが来ることになるのだろうから、私が心配するまでもないのかもしれないけど…
そう考えると、本当に私の方が寂しいと思ってしまった。
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