夏月一会
「それでもやっぱり、私は秋が好きかなぁ。休息の時が一番落ち着くし…夏は暑いからすぐにだるくなるもん」
「麗海さんはそんな感じだね」
凪はクスッと笑った。
「凪君はまだいいよ。ここにいるから、夏の間でもずっと涼しいもん。南の島にでも行ったらきっと生きていけないよ?」
「そんなこと、ないよ」
その時、ふと凪の表情が変わった気がした。
「どこへ行ったって、変わらないよ」
いくら凪に近寄れた気がしても、実際に側に寄っても、相変わらず分からない。
凪の言葉に含まれている、本当の意味が……
本当の、凪の姿が……
.